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チャレンジャーズ

03リボンプロジェクト



2006年が開けて間もないある日。ブラッスリー銀座小松店に社長の山崎が前ぶれもなくやってきた。この会社では珍しくもないことだ。閉店間近の時間帯、店長の小出愛子はカウンター席に座る社長の横に腰掛け、問われるままに仕事のこと、店のことを話していた。
「ねえ社長、これからはもっと私たちを利用していったほうがいいですよ」
話題が女性のワークスタイルに及んだとき、小出は日頃の思いを込め、語り始めた。
「これまで何年も後輩の女性社員が入社してくるのを見てきたけれど、決して長続きしているとは言えないですよね。仕事を続けないのには理由があると思うんです」
ライオンは効率やマニュアルに支配されるのを好まない組織だ。店や個人の自由度が高い反面、個人の頑張りに依存する部分が大きい。男女の区別がないのはいいが、「一緒に頑張ろう」というやり方ばかりではついていけない。ライオンが女性マーケットに強くないのは、実はそんな体質が問題なのではないか。女性を上手に活かせる企業にならないと、成長も望めないと思う。
じっと耳を傾けていた山崎は、小出の話が途切れると言った。
「実はオレもそう思っていたんだよ。小出さん、それ、プロジェクトとしてすぐにやってくれないかな」
言いだした者が主役になる。これもこの会社では珍しくないこと。2006年4月には、早くもプロジェクトがスタートした。






「えっ!ウチの会社って、女性社員80名しかいないの?」
プロジェクトメンバーを集めるため社員名簿に目を通した小出は、思わず声を上げた。少ないとは思っていたけど、これほどとは。「よぉし、いつか女性社員の比率を日本の人口比にまで近づけるぞ」。逆に小出の気持ちは高まった。
選ばれたメンバーは8名。まったくの偶然だったが、既婚者と未婚者が半々、本社勤務と店舗勤務が半々、20代と30代が半々となった。
「このプロジェクトの目的なんだけど…」
4月13日、最初の会合で小出は切り出した。
「ただ女性の働きやすさを向上させるだけじゃない。「企業の成長」という目標を達成するために女性にできることを考え、それが可能な状況を作り出していきたいと思います」
うなずくメンバーたち。そして話し合いの結果、プロジェクト名は「リボンプロジェクト“VIP”」に決まった。
「社内外をやさしくしっかりと結びつけるリボンであり、会社を生まれ変わらせる(リボーン)存在を目指します」
ちなみに“VIP”とは“Venus in Polaire(北極星の女神)”の略であり、
「女性はいつもVIP扱いされたい」というちゃっかりした願いも込められていた。

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